京の冬の旅2022 東寺勧学院 観智院


東寺一山の勧学院 "しだれ梅"


東寺 食堂の北側にある
北大門から北総門までの参道は、
平安期以来の幅で残っている
ただひとつの小路"櫛笥小路"。

櫛笥小路の東側に建つの"観智院"。
東寺の三宝といわれる
頼宝、杲宝、賢宝のうち、
杲宝が南北朝期1359年頃の創建。
真言宗の勧学院で、
"大学研究室のような"との解説が、
観智院のパンフにありました。

しだれ梅の奥にあるのが"静観堂"

五鈷杵を持つ弘法大師像
お祀りされています。

国宝客殿前庭に枯山水

五重塔を借景にした"涅槃禄の庭"、
新たに2017年に作庭されたもの。

かつては、
弘法大師が唐から日本へ
帰国される様子を表す枯山水、
"五大の庭"がありました…

国宝客殿は江戸初期に
第10世 亮盛が再建、
中世の住宅様式を残しつつ、
柱の間隔を畳割りで決めるなど、
近世書院造へと変容期を知る
貴重な建物です。


客殿には宮本武蔵の筆とされる
"鷲の図"と"竹林の図"…

客殿 上段の間の床の間に"鷲の図"

そして"竹林の図"の襖絵。
剣豪 宮本武蔵は、
妙心寺の塔頭 退蔵院の方丈に棲い
吉岡一門決闘が一乗寺下り松
決闘後に一時身を隠したのが、
ここ観智院だと伝わっています。
剣豪は教学の余技として、
書画をよくしたそうでして、
宮本武蔵の画業が今に伝わります。

本堂と客殿との間にあるのが、
四方正面の庭”です。

どの季節でも楽しめるという、
草木と石組みらが秀逸です。

本堂御本尊は五大虚空蔵菩薩像
こちらは
"業用虚空蔵菩薩坐像"
乗っておられるのは"迦楼羅"、
仏教経典中の大鳥とか…
両翼は三三六万里あり金色、
口から火を吐き、
龍を取って食うとするとあり、
密教では仏法守護、衆生救済
梵天が化したともされています。

"蓮華虚空蔵菩薩坐像"

虚空蔵とは無尽蔵
広大無辺の知恵を無尽に
蔵していることをいい、
菩薩を念じて記憶力を得る法
"求聞持法"の虚空蔵として伝わり、
知恵を五つに表したもの。

"法界虚空蔵菩薩坐像"

一説には空海も求聞持法
師匠の勤操大徳より受け、
真言密教を開く
足がかりとしたのだとか。

"宝光虚空蔵菩薩坐像"

もとは唐 長安の青龍寺金堂本尊、
847年に杲宝の弟子 賢宝によって、
請来されたものなのです。

"金剛虚空蔵菩薩坐像"

永らく一般公開とされておらず、
初公開のときに訪れる機会、
月日が経って院内の
景色も少し変わりましたが、
五大虚空蔵菩薩は健在
です。

五大虚空蔵は蓮台に結跏趺坐
獅子、象、馬、孔雀、
迦楼羅
という鳥獣の上に鎮座。
迦楼羅をのぞけば、日本の仏像にも
騎乗の仏さまは多くおられますね。

本堂北側には茶室"楓泉観"、
襖絵の多い茶室ですので、
ちょっと傷まないか
心配になってきました。

幕府御用絵師の狩野氏信 筆の
楼閣山水図》、
尾張の南画を代表する中林竹洞
秋草図》など、
そろそろレプリカにして撮影OK、
その方がよさそうな気がしました。

露地には鹿威、石灯籠に蹲

躑躅、紫陽花、楓など、
四季折々の移ろいを
感じることのできる空間です。

心落ち着かせるには、
もってこいのスポットです。

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