京の冬の旅2022 醍醐寺五重塔 初層へ


いつの頃からか定かではないのですが、
法隆寺、瑠璃光寺とともに
"日本三大名塔"に数えられてきた
醍醐寺 五重塔は"下醍醐"
呼ばれる伽藍に聳えています。

三宝院前の長い桜馬場を行くと、
仁王門が待ち構えています。
西大門でもある仁王門は、
1605年(慶長10)の秀頼による再建

仁王像は南大門にあったもので、
1134(長承3)に大仏師 勢増と仁僧
によってつくられたことが,、
『醍醐雑事記』などにより、
分かっているもので、
豊臣氏による再興事業で修理され、
ここに移されたのだそうです。

忿怒形像ながらもコワくない…
大きめの頭部に比べてやや細身、
肉身のモデリングも厚手でなく、
しかも細やか…、
翻転の裳裾も落ち着いた感じです。
平安後期の仁王像は数少なく…
造像年次が判明しているので、
京都 峰定寺と並んで二例のみ。
重要文化財の指定というのは、
制作年次を示す時代の標準作
美しさよりもそちらに重きを置く…
そんなことがよく分かる逸像です。

醍醐寺の本堂である金堂
豊臣秀吉の命により
紀州の湯浅から移築されたもの。
でもナゼ紀州から移築??
金堂移築の理由も"醍醐の花見"。
実際に移築を受け持ったのは、
高野山の僧侶 木食応其
解体され湯浅から船に海路、
淀川、山科川を経て醍醐寺に。
仮柱が立てられますが、
数ヶ月後秀吉が亡くなり
工事は中断したそうです。

安土桃山期復興に力を注いだ
三宝院門跡の義演の人柄もあって
紀州ゆかり応其が力を尽くした…
最近の研究でそうみられています。

本堂は平安末期の様式が
完全に残されていることが、
評価されて国宝指定
本堂の薬師如来坐像
病気を癒し苦しみを解く…
両脇侍は日光、月光菩薩立像

金堂よりやや山手に五重塔

金堂の延長線上にあるのは
"清龍宮拝殿"です。

こちら"清龍宮"が醍醐寺の
総鎮守清瀧権現を祀る鎮守社
1097年(永長2)
"上醍醐"より分身を移し祀ったもので、
ただ"文明の兵火"で焼失
現社殿は1517年(永正14)再建。

拝殿は義演によって整備されたもの
1599年(慶長4)のこととか。
毎年4月1日から21日まで
清瀧権現桜会』の地として、
大切な醍醐寺と山岳信仰を繋ぐ場所。

京の冬の旅2022 醍醐寺五重塔 初層、
その特別公開は少し変わっていました。
五七の桐の陣幕に受付があり、
一字一願写経をお願いします」と。
清龍宮拝殿に昇殿、
自分の好きな一字を認めて…
五重塔に奉納するのだという。


「いきなり一字ってなぁ〜」とか
「筆で字を書くなんて聞いてない」

いろんなところで筆の上げ下げ…
"虎"と"寅"で迷いましたが、
」にしてみました。

朱雀天皇が父 醍醐天皇の冥福を
祈って起工されたのですが、
醍醐寺で唯一の創建当時の
姿をとどめているのが五重塔。
醍醐帝崩御の翌年931年に計画、
村上天皇の世 の20年後の
951年(天暦5)に完成、
京都府下最古の木造建造物です。
1585年の"天正地震"で大きな被災、
秀吉の援助により大規模修繕。

"僧侶がご案内する特別拝観"…
基壇への石段で渋滞発生、
というのも初層内部の説明が
このポイントで行われていたから。
スタッフも位置をずらして
お願いするのは憚られたのでしょう。
「内陣を見せていただいても
 いいでしょうか?」

声を掛けたのは私でした。
正式には"初重(しょじゅう)"とか。

内部はニュースソースからの写真…
内部は中心に心棒が通り、
四方には醍醐天皇、朱雀天皇、
村上天皇、穏子皇后
の位牌。
1997年の初公開は京都市営
地下鉄東西線開業に合わせたもの、
塔1階の扉を開放して
外から見てもらう形で実施…
2021年からの公開は、
仮設の見学路が設置されて内部へ

心柱の覆板などに
胎蔵界・金剛界の両界曼荼羅

空海ら高僧を題材にした"真言八祖像"、
空海が"弘法大師"の諡名を921年に
贈られて今年で1100年になるとか…
板の一部が交換されており、
完全なお姿ではありませんが…
制作年代の明確な仏画として貴重、
日本密教絵画の源流をなすもので、
"五重塔初重壁画"として、
塔とは別に国宝指定を受けています。

ニュース写真に写られているのは、
壁瀬宥雅(かべせゆうが)執行長、
2010年より同志社大学工学部卒
という経歴を持たれているとか。

かなりキャラが立っておられますね。

高さが約38mで細部の完成度…
徹底したこだわりの木組み、
その精緻さは見事です。

塔の3分の1の高さを占める相輪…
多くの要素が強烈なパワーで統合、
フランスの哲学者サルトルは、
塔を前にして言葉もなく、
ただただ呆然と立ちつくした
と伝えられています。

その"呆然"こそがまさに、
"頂点の造形美がもたらす至福"。

"一字一願写経"ともに頂いた
"宇宙鎮護 GOUNJI SPACE"??
宇宙寺院「浄天院 劫蘊寺(ごううんじ)」
2月1日に発表された京都大学発の
宇宙ベンチャー・テラスペース
2023年に打ち上げのIoT衛星
寺の機能を持たせるとか…

醍醐寺座主 仲田順和猊下さんと
会見でカメラに収まる彼は、
実は同志社香里の後輩にあたる
北川貞大さんなのです…
カゴヤ・ジャパン㈱という
クラウドとレンタルサーバーを
手掛ける同窓会の逸材でもあります。

ちなみに宇宙寺院は、
高度400km〜500kmの
地球低軌道上で約90分で
地球を一周するとか…
2023年度打ち上げ予定とか…
地・水・火・風・空からなる
5つの世界を示す宇宙観を表す

五重塔が宇宙と繋がる日が
来年にもやって来るのです。

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