欧州からみた大津絵③ ピカソとミロと大津絵


こちらはピカソ
持っていた 《猫と鼠》
この絵にも酒に呑まれて
油断する愚かさを
風刺する道歌が
添えられていますが、
読めずともピカソは、
メッセージはきちっと
受信していたのでしょう。

展覧会のキャプチャーには
こうありました。
「とりわけ猫の背中から
 尻尾を一体化した曲線処理。
 ギザギザ尻尾の抽象表現
 大胆にズレた猫・鼠・瓢箪の
 輪郭線と色刷りの前衛感覚、
 瓢箪の記号ばり二次元表現
 写実絵画を解体して
 キュビズムへ向かう
 ピカソの感覚を刺激する
 要素が大津絵に存在していた。」
と…

小泉八雲で知られる
ラフカディオ・ハーンも
大津絵のコレクターで、
所有していた《酒飲猿》
こんな歌が添えられています。
「酒のんで不足はなしを
 かたぬいで たる事しらぬ
 猿のより合」

ピカソと同じバルセロナ出身、
ジョアン・ミロも、
その魅力に惹きつけられた人。
大津絵《為朝》と一緒に
写真に収まっています。

この絵との出会いが
彼の作風に変化を与え、
太い黒線に囲まれた
原色の作品が目立つように
なったと言われています。

1950年にバルセロナで
開催された「日本民芸展」、
画家 ジョアン・ミロ(右)と
彫刻家のエウダル・セーラ
ゴミス所有の大津絵の版画
《竹に虎》を使用した
ポスターを背に…

《鬼念仏藤娘図》

鉄板カップル
温山良隠の筆によるもの。
良隠(1748~97)は、
伊勢 松阪の出身の
実直な雅人だったそうで、
名声や売画のために
揮毫しなかったと。

画題の趣向は、
都の近郊の藤棚見物にでも
出かけた鬼と町娘…
雪駄の鼻緒が切れて、
鬼が娘を背負って家路に。

大津市歴博のキャプションは、
斬新な解説が付いていました。
大津絵画題のスピンオフだ、
と説明に続き…
「単なる人気土産物から、
エンタメの
キャラクターへ変わり
自分の好みに大津絵キャラを
仕立てる人が続出した。」

《江戸仕込大津土産》
喜多川歌麿 1800年ごろ
フランス・パリ個人蔵

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