迎賓館赤坂離宮をたずねる② 本館正面


迎賓館赤坂離宮の参観コースは、
(1)本館・庭園(主庭及び前庭)、
(2)和風別館・本館・庭園、
(3)和風別館・庭園、
(4)庭園の4つがあり、
本館・庭園のコースをセレクト、
新型コロナウイルス感染対策もあり、
予約時間前に受付テントに…
ただセキュリティー・チェックが、
かなり厳重で空港とほぼ同じ、

X線検査に加え 飲み物は一口飲んで、
爆発物でないかの確認もありました。

本館内部は撮影禁止
カメラもカバンに…
携帯・スマホも電源オフが
推奨されていまいた。
内部写真は小出しに…
絵葉書と図録よりお伝えする予定です。

本館は厳正なシンメトリーで、
当時欧米諸国で流行し始めた
ネオ・バロック様式が採用されています。
正面は大きく湾曲して前方に張り出し、
両翼で人々を抱きかかえるような形
ちなみにネオ・バロック様式とは…
「ベースは17世紀の美術・建築様式である
バロック様式で、楕円や動きのある形で、
日常から離れた次元に人を誘う
劇的な表現が特徴です。
その後、19世紀末に欧米で流行したのが
ネオ・バロック様式で、
多様な基本様式をバロック化し、
豪華にデザインしたものです。」

正面バルコニーの中央上部には、
菊の紋章が飾られ、
阿吽の鎧武者に守られています。

正面右の武者兜は鹿の角
徳川四天王の一人として活躍した
戦国武将の本多忠勝が有名ですね。

左右には天球儀と霊鳥の装飾。
総指揮を執ったのは片山東熊は、
1877年(明治10)に来日していた英国人、
工部大学校の造家学科教授である
ジョサイヤ・コンドル博士の直弟子、
片山は欧米出張して建築を学びました。
この装飾はアメリカの建築家
ブルース・プライスのアドバイスで
作ったものといわれています。
「鎖国がとけてからまだ間もない
 日本が世界にはばたいていけるように」

という願いが込められているとか。
霊鳥四羽、桐の葉の紋章。

武士像の真下にはそれぞれに
大きなフェストゥーン
さらにその下には楽器・楽譜・
パレット・絵の具・絵筆などの
芸術に関係するレリーフが左側に。
フェストゥーンとは、花・葉・実などを
編んで吊り下げた形の装飾のことで、
花綱飾り、下げ環飾り、懸華装飾とも
訳されています。

麦や果実などの農作物・農機具・
スパナ・ハンマーなどの工具など
農業・工業に関連する右側
外壁はすべて強固な花崗岩ですが、
昭和の改修では表面と目地の補修、
実は戦時中に迷彩が施されていたので、
圧縮空気による砂を吹き付け、
ブラッシング工法などで復元が
図られたそうです。

バロック Baroqueとは"歪んだ真珠"、
という意味なのだそうでして、
代表作はヴェルサイユ宮殿
しかし、18世紀の半ばを過ぎると、
バロックに反抗する機運が起きました。
フランスの国情の変化や、
懐古趣味などの新古典主義、
リバイバルとの折衷のなかで生まれた、
その一つがネオ・バロック様式とか。
ヴェルサイユ宮殿がお手本ではあるが、
近年ヴェルサイユ宮殿の関係者が来たときに
「単なる真似ではない
 オリジナリティのあるものだ」

と感心しいたとも言われています。

正面玄関の鉄の扉はフランス
シュワルツ・ミューラー社からの購入。
扉には桐の葉の紋章「五七の桐」。

茨城県の加波山産と相模原産
花崗岩で覆われている外壁。
石は青山墓地の南の練兵場に集められ、
関東関西の石工それぞれ150人が
手彫りで加工したものだが、
当時は関西のほうが技術的に上だったとか。
気をつかって人数を揃えたにもかかわらず、
両者のケンカが絶えなかったとも。



次回は主庭をのぞむ本館南面と大噴水

※国土交通省 GRASP(グラスプ)の
インタビュー記事トリアングル
内閣府迎賓館総務課営繕専門職 藤原 敦子さんの

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