日本人の嗜好をさぐる㉔ たこ


《江戸名所百人美女 日本ばし》
 歌川豊国


7月1日は「半夏生」…
"はんげしょう" と読みます。
中国由来の二十四節気を補う
日本の気候風土を補う、
七十二候というもの。
節分や彼岸、八十八夜と
同じ雑節というもの。

《蛸図》葛飾北斎
  1811年頃

上方では半夏生にタコを
食べるのです。
タコを食べる意味は、
稲がタコの足のように
大地にしっかり根付く
ようにという願いとも。

《梅が枝無間の真似》
 歌川国芳


京都の繁華街 新京極通に
蛸薬師のお堂があります。
ご本尊 薬師如来が「蛸の姿」に
なって現れたとされます。
お寺の名前は永福寺
1181年(養和元年)に、
室町の林秀という人が、
延暦寺の薬師如来のお告げで、
伝教大師の彫った
薬師如来石像を持ち帰って
祀ったのがの始まりとか。

撫でたり手をかざすだけで、
病を癒し苦患を吸い取る
ご利益があるとされています。

《梅が枝無間の真似》
 歌川国芳


7月2日頃から7月7日頃までの
5日間を半夏生と呼びますので、
今年は7月1日が半夏生でした。
天文学的に言うと、太陽が
黄経100度を通過する日??
だんだん
分からなくなってきましたね。

《流行蛸のあそび》
 歌川国芳
1840~1842年

タコは高たんぱくで低カロリー、
アミノ酸の一種 タウリン
含まれていることもあり、
"栄養ドリンク" には今や
必須で調合されています。
骨や皮を処分することなく、
丸ごと食べられる便利な
食材ではありますが、
外国では宗教上の理由もあり、
鱗のない魚介類は
汚らわしいものとされ、
デビルフィッシュ」と呼ばれ
忌み嫌われてきたのです。

《東都名所
 高輪二十六夜待遊興之図》
 歌川広重


二十六夜待の様子を描いた
広重の一枚。
二十六夜待とは江戸時代に
品川・高輪周辺で盛んに
行われていたもので、
陰暦正月・7月の26日の夜、
月の出るのを待って拝む行事。
タコのコスプレ??
不思議です。

大阪には薬師ではなく、
蛸地蔵という地名が残ります。
岸和田城を助けた大蛸の伝説。
南海電車の蛸地蔵駅にのこる
ステンドグラスです。


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