日本人の嗜好をさぐる㉖ 枝豆


《浮夜八会 えだまめ》
 歌川国芳
1849-51年

夏といえば…
ビールに枝豆(・ω・)v
未成熟な大豆を枝豆としての
食べ始めたのは、
定かではないそうです。
何度か登場させている
江戸後期の『守貞謾稿』には、
茹でた枝豆を売り歩く職が、
こう記されています。

『守貞謾稿』より
 京阪の菽賣 江戸菽賣


「又江戸は菽(まめ)の枝を去ず
 賣る故に枝豆という。
 京坂は枝を除き皮を去ず
 賣る故にさやまめという
」と。

江戸では枝付きのまま、
大坂・京では枝から外して
売られていたので、
上方は枝豆でなく"さやまめ"。
「枝つき枝豆」というのは、
回りくどい言い方なのですね。

『倭漢三才図会』より大豆

1712年の『倭漢三才図会』の
「大豆」の項に「黄大豆」。
莢が若いうちに食べられていた
ことが書かれています。

旧暦9月13日にあたる月を
豆名月」とよんで、
枝豆を供える習慣があるそうで、
江戸後期からも広がりました。

《しん板猫のあきんどづくし》より

大豆の起源地は特定されておらず、
東アジアに自生の野生種ツル豆
ルーツとされていましたが、
近年ではイネと同じく
中国南西部の誕生とする説が、
合理的とされてきています。

《しん板猫のあきんどづくし》
 歌川芳藤
1866年

未成熟大豆としての枝豆を
食べるという食文化は、
長らくアジア諸国独自の
ものだったのですが、
新作柄として1991年に
EDAMAME」として、
紹介されてようやく世界的に
認知されるようになったとか。
2000年くらいから欧米でも
塩ゆでした枝豆が流通、
冷凍枝豆」もその普及の
一役を買ったのです。

《当世六玉顔 調布の玉川》
 歌川国貞


枝豆は鮮やかな緑色が特徴…
奥原早生」や「サッポロミドリ
をはじめ枝豆専用の品種は、
400品種以上存在しています。
一方で茶豆や黒豆も、
大豆になる前に収穫され、
ブランド枝豆が多く知られています。
植物分類学上、大豆は豆類で
枝豆は野菜類となっています。

絵本時世粧』より
 歌川豊国

"大阪もん"にもブランド枝豆あり、
八尾えだまめ」がそれ。
八尾市の南高安地区で、
約9haの農地で栽培されています。
大阪府下生産量の7割を
八尾えだまめ占めておるとか…



※このブログは だまめ日和 さんの
 HPを参考にしました。

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