ベランダコロニアルのハンター邸へ


これぞベランダコロニアル様式
王子動物園園内にある
ハンター邸」の内部公開に
いってきた====!

エドワード・ハズレット・ハンター
1843年 英国アイルランド州
ロンドンデリー市に生れ、
21才のとき横浜の商社員となり、
神戸港が開港されると神戸に移り、
小野浜にできた造船所に…

独立してE・H・ハンター商会を設立、
後の日立造船となる大阪鉄工所
大阪安治川口に創設…

元の持ち主はドイツ人の
A・グレッピーという人、
ハンター氏が北野町の高台に
居宅を作るにあたって、
建物を買い取り改造したもの。

ベランダは当初は開放状態…
コロニアル式そのものは、
南洋植民地に対応した住宅様式。
部屋の延長としての
ベランダを持っているのが特徴。

日本最古のコロニアルは、
長崎の1863年のグラバー邸ですが、
気候温暖で東洋の別荘地のように
目されていたのでしょう…
ただ…歌にもあるように、
長崎といえば雨
湿潤な気候に開放的ベランダは、
姿を変えていったのです。

鎧戸を設えた冬用のサンルームに
変わって発展していったのです。

開け放たれた窓の先には、
王子動物園の観覧車。

基礎は石造

外壁はモルタル櫛目引き、
棟飾りなどには唐草模様
装飾がついています。

屋根の切妻にも唐草模様…
幾何学的なデザインもみえます。。

玄関は正面向かって一番左側、
頭部に塔屋を載せた3階建て。

玄関の床には美しいタイル




内部は1階が応接間に居間と
食堂が並び…
一続きの広間として使える
ユーティリティな造り
です。

ルネッサンス後期に
流行した装飾様式、
特徴のある欠きがある、
ブロークン・ぺディメント
呼ばれるものです。

扉につけられた装飾

ドアノブも秀逸です。

マントルピースは各室ともに
デザインの違うものが見られます。

シャンデリアは当初のものでは、
ないと思われますが、
凝った造形のものが見られました。

こちらも室内に
ブロークン・ぺディメント

風通しのための天窓。



廊下や階段部も白漆喰の壁と
幾何学模様の腰板…

階段部入り口にコリント式小角柱

ハート型アーチで繋ぎます

踊り場の上げ下げ窓に
はめられている草花文様のガラスは、
イギリスから輸入されたもの。

漆喰装飾が いい仕事してます。



二階のマントルピース

家族の寝室が南向きに
4つ直列に並んでいて、

重厚な意匠の1階とは、
趣きが異なっていて、
プライベートスペース
雰囲気の明るくあか抜けた部屋。





南面から東面にL字形に
回されたベランダ部、
けっこう凹凸の多い平面です。

神戸の地は雪も降ったりするので、
このような二重構造のスタイルに。

この地に移築されたのは、
1963年のこと…
阪神・淡路大震災
煉瓦造の煙突2本のうち1本が折れ、
室内に落下したため、
東広縁部が全体に崩壊するなど
大きな被害を受けましたが、
一旦解体しキレイになっていました。

ここも桜の名所のひとつです。
3月は土日祝、4月~5月
動物園休園日の水曜以外は、
内部公開もされています。


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