熊本たてもの めぐりん ⑩ 長崎次郎書店
森鴎外の『小倉日記』
「書肆(しょし)の
主人長崎次郎を訪ふ」
と記される
長崎次郎書店、
城下町の風情が残る新町にある。
「新鳥町商店街」の看板、
1965年まで鳥類を扱う商家が
並んでいたとのこと。
2007年から…
「静観堂」の扁額がかかる
実は1800年代初め、
細川家の指物師として
京都から移ってきた。
「静観堂」の屋号で道具屋を
営んだのが長崎伊太郎さん。
1872年の学制発布を受けて、
長崎家次男である次郎さんが
書店を開業してこの名に。
人力車で教科書を配布、
その原簿が残されています。
「熊本県内の子供へ、
一人残らず教科書を届ける」、
この書店はそんな使命で、
営み続けられたそうです。
軒の出の小さい屋根、
2階の連続する変形アーチ。
障壁風の壁の上部に
設けた小屋根がオモシロい。
軒廻りの装飾などなど
スクラッチタイルと
お見受けします。
2階に喫茶室
2013年春に諸般の事情で休業、
政府刊行物扱いの書店だったとか…
熊本県菊陽町の
インドネシア産豆専門店
「岩下珈琲」から仕入れる。
内装は木と珪藻土の壁が基調。
以前は住居や倉庫などに
使われていたそうです…
試行錯誤があったそうです。
行き交う路面電車を
眺めながら…
こだわりのコーヒー
買ったばかりの本のほか、
喫茶室内にも絵本なども、
ぜいたくな空間。
お昼どきだったので、
こだわりのカレーライスも。
こちらお土産のコーヒパックと
J・どら焼き。
再スタートは、
昭和期にのれん分けした
長崎書店が経営を継承、
文芸・芸術・児童書などのほか、
雑誌やコミックに力を入れて…
喫茶室には
『すすめ!!パイレーツ』の
江口寿史さんのサイン本。
「長崎次郎書店」
竣工年:1924年(大正13)
設計 :保岡勝也
構造 :木造2階建、瓦葺
所在地:熊本市新町4-1-19
【国・登録有形文化財】