《 二美人図 》歌川国直 画, 双幅 (1830-54年ごろ 東京国立博物館) 浮世絵の “浮世” というコトバは、 昔の仏教用語の一つ。 はかない世、苦界、無常の世 ということを指しています。 江戸の町人たちは、 喜びと楽しみに満ちた現世で、 それぞれに置かれた ポジションで満喫していました 。 そんなことをイマに伝えるモノ、 それが「 浮世絵 」というものなのです。 『 浮世床 』挿絵 歌川国直 筆 市民生活をあざやかに描き出した 江戸後期の代表的な滑稽本に 『 浮世風呂 』という作品があります。 作者 式亭三馬 (しきてい さんば) は、 自身も古本屋を営んでいた戯作者。 もう一つの代表作が『 浮世床 』、 その挿絵を描いたのが 国直 その人です。 国直は信濃国の生まれ、 初めは 明画 を学んでいたようですが、 葛飾北斎 に魅かれて 豊国風 を学び、 初代豊国の門人でありました。 師名「 国 」を字を許されて 歌川国直 と称するようになりました。 《 関三十郎 七役相勤申候 》 忠臣蔵の七役を演じる 関三十郎の役者絵 役者絵を得意としただけに、 場面設定や雰囲気描写にも 手を抜かないので絵草紙類では、 国貞 と比肩する非凡さを発揮! 判官が切腹の処分を申し渡され、 すでに覚悟を決めていた判官が 由良之助を待つ場面です。 《 浮絵忠臣蔵・四段目之図 》 北斎の得意とする「 一点透視法 」、 中央奥の判官を注目させて、 奥行きの深さはまさに絶妙です。 歌舞伎では唯一このシーンでは、 遅れてきた客や弁当の差し入れなどの 外部の出入りを遮断する という、 静寂で厳粛なシーンなのです。 題目の “浮絵” は浮世絵の種類の一つ、 西洋絵画から取り入れた 遠近透視図法 を用いられていて、 焦点が画面の奥にあるのです。 いわゆる「 消失点 」に向かって 奥へと立体感が構成されています。 《 浮絵忠臣蔵・十段目之図 》 「 国直 」 新進気鋭の絵師、十九歳。 歌川一門の門弟だが 北斎を尊敬している。 芯のある女が好みで、 お栄 に対して好意を寄せる。 『百日紅』映画パンフより 最後に・・・ 大阪市立美術館で里