かごしま洋館あるき⑦ 南日本銀行本店
「朝日通り」電停近く、
ランドマーク的存在の
「南日本銀行本店」。
もとは鹿児島無尽 株式会社の
鹿児島支店だった建物。
建てられたのは1937年、
昭和12年のことでした。
戦争需要と兵隊に取られた
男性の不足もあって、
景気がよくなるのは翌年のこと。
景気が悪いにもかかわらず、
この頃鹿児島市では、
鉄筋コンクリート造の建物が
続々と建てられたそうです。
「顧客に安堵感を
与えなければならない」という
考えのもとに建てらた銀行建築。
日中戦争が泥沼化し
戦争真っ只中…
その時勢なればこその、
安定感を感じさています。
1937年5月に完成していますが、
戦後の1967年に増築され、
現在は地下1階地上8階。
もとは4階建て一部6階の建物。
異なった3層の仕上げ、
5・6階は交差点に合わせ
弧を描いた形の望楼に。
4階は3枚1組のアーチ窓、
増築が繰り返しが、
変化に富んだ姿を
創り出しています。
ルネサンス様式と
ゼツェッション様式の混合。
南日本銀行は、
戦前の「無尽業法」※に
より設立された金融機関。
創業は1913年(大正2)9月、
「同仁貯金合資会社」として創業、
1936年に「鹿児島無尽(株)」に、
1951年に相互銀行法で、
(株)旭相互銀行、
南日本銀行となったのは
1989年のことなのだそうです。
こちら社用車の車庫。
鹿児島県の技師、
三上昇氏の設計によるもの。
建設から8年後の
空襲をくぐり抜け、
現在も現役として街の
ランドマークとしての
親しまれる存在だそうです。
「南日本銀行本店」
竣工年:1937年(昭和12)
設計 :三上 昇
構造 :鉄筋コンクリート造6階建
所在地:鹿児島市山下町1-1
【国・登録有形文化財】
※ 無尽とは?
困窮に苦しむ人を救済するために、親戚・知己が寄り集まり、
物やお金を出し合う相互扶助のシステムのこと。
一定の会員を募集し、各会員が毎回一定の掛金を積立て、
集まった金額をもとに抽選や入札を行い、
当選した会員に対し一定の金額を限度として貸付を行う仕組み。
貸付金の返済は、貸付を受けた会員が、一定額を毎回の積立金
に上乗せして、返済に充当させるものとされている。