藤沢市にあるライト式邸宅~近藤賢二別邸


旧帝国ホテルの設計者でもある、
遠藤新が設計したライト式の住宅、
江ノ電の始発駅 藤沢で訪ねました。

1925(大正 14)年竣工の
朝日石綿工業社長の
近藤賢二の別邸で、
もとは辻堂東海岸の広大な
敷地にあったもの。

近藤賢二が亡くなれたた後…
所有者が代わり老朽化で
取り壊されるところでしたが、
保存を望む市民や建築家の運動せ、
市による移築保存。

バックは秩父宮体育館

市民会館のある場所に1981年に…

水平線を強調する軒や
下見板張りの壁面…
木造平屋建ての一部2階建て、
南北に長い棟と東西に長い棟の2棟を
T字型につながれているので、
どこからも横長に見えます


遠藤新は1914年(大正3)に
帝国大学を卒業した後、
フランク・ロイド・ライト
6年間師事、
常に建築と人間との調和を考え、
西欧の模倣ではない
「真の日本の住宅」を追い求めた人。

ライトが自らプレイリースタイル
草原様式=Prairie Styleと称し、
1890年代から1910年代にかけて
シカゴ周辺で盛んに設計した
住宅と共通しているとか…

大居間兼食堂はかなり広く、
11人も子供が近藤には居たので、
この広さが必要だったのかも。
大谷石を幾何学的に組み合わせた
ライト風デザインの大きな暖炉。
移築にあたり苦労したようですが、
"燃える暖炉"として現役だとか。

居間兼食堂以外の居室は
すべて畳敷の部屋になっていて、
床の間風の空間があったり、
長押のような部材を
壁にまわしたりする
など、
和風の要素がうまくデザインに
取り込まれています。

幾何学的デザインはライト風…
市松模様や連子窓といった
日本の伝統的なデザインにも通じ、
畳の空間と実によく馴染んでいます。



実は訪問したのは休日の翌日…
コロナ禍の影響もあって、
公開を控えているのかも。
事前に調べたのですが、
内部見学は叶いませんでしたので、
内部写真は市HPなどからの転載です。

近藤が別邸の用地として購入した
松林は3000坪もあったので、
"プレイリースタイル"に
うってつけの敷地だったのやも。

軒を低く抑え、軒先がつくる
水平のラインを強調したデザイン。

屋根が勾配を抑えた棟の低い寄棟造り、
近づくと屋根面が軒先に隠れて、
さらに水平のラインが強調される…
そんな仕掛けが施されているのです。








このブログの人気の投稿

「シンデレラ」ガラスの靴の秘密

2015あけおめ!!

異界との出入り口《春日権現験記絵》