レトロ大津をあるく 滋賀県庁


滋賀県庁ルネサンス様式とも
帝冠様式とも呼べる近代建築。

車寄せ前の噴水近くにある位置表示…
ちなみに東経135度は子午線
東経が近いのが広島県庄原市、
兵庫県たつの市、大阪府能勢町、
そして静岡市など…
ギリシャのクレタ島は北緯35度0分、
東経24度45分に位置してるとか…

噴水は湖国の象徴として
1965年に築造されたもので、
裸婦像が支える上皿より
水が降り注ぐとか…

開庁日だとこんな感じに
吹き上がっているはず。

母なる湖」と題されています。
ブロンズ製裸婦像は、
当時 滋賀大学助教授であった
伊室重孝氏の作品です。

登録有形文化財(建造物)の登録は、
2014年12月のことでして…
閉庁のためなかをうかがうことは叶わず。
口字形建物の構造となっているそうで、
60分、90分の県庁見学ツアーも
開催されているとか…
滋賀県公館も案内してくれるので、
次回は平日に行ってみようかと思ふ。

正面中央と両端にコリント風の大オーダー

重厚な車寄

中央には塔屋がそびえる。
滋賀県庁舎よりも以前の県庁舎建築では
「顔」となる正面部分の窓には
アーチをつけたり、
枠に華麗な装飾がなされたりしているが、
滋賀県庁舎は枠の中にはめられただけ…
簡素化というよりも
"すっきりさせる"という点は、
現在に通じるセンスを感じさせます。


設計は日比谷公会堂などを
手がけた佐藤功一
建築装飾を得意とする国枝博
2人が担当されました。
京都工芸繊維大学の石田潤一郎 名誉教授は、
「早稲田大学教授などを務めた佐藤と
 民間で鍛えられた国枝の2人の知恵が
 合作した近代の自治体庁舎の
 総決算ともいえる」
と高く評価。

中庭を囲み、口字形に左右対称性に
整えているのは古めかしいと言えますが、
廊下の配置は当時としては珍しい
合理的な手法がとられています。
中庭に沿って廊下を設置する定型をくずし、
西側のエリアの西日を考慮して、
あえて中庭に面して事務室を置き、
廊下が外に取り巻くように設計しているとか。


県庁舎本館にはミステリアス
一面がいくつか存在するのだとか…
南から北に下る斜面に建てられているので、
南にある新館の入り口は実は2階。
1階と勘違いし、渡り廊下を伝わり、
北側の本館に行くとそこは2階…

新人県職員は迷子になることもあるとか。

塔屋はかつての旧県庁の正庁が
御座所となったのを記念して、
1929年の改築のときに記念室として、
原型のまま移築されているそうです。

旧滋賀県庁舎は1888年6月に、
総工費約11万円と2年の歳月をかけたもの。
煉瓦造り2階建て十字形をした建物で、
洋風のモダンな建物で、
集中式の暖房装置も備わっていたとか。
明治天皇の御座所になったのは、
1890年4月のことだったそうで、
琵琶湖疎水開通式における行幸でした。

記念室は現在は執務室として
使用されてるそうです。

本館1階西玄関にあるトイレも謎
ここには男性用のみで、
申し訳なさそうに小便器が2つだけ
庁舎管理の総務課の担当者も
「なぜこうなったのか、
 誰もわかる人がいない」と…

内部の写真は県庁HPから
踊り場のステンドグラス
平板な感じがする石造りの踊り場に
柔らかな光が注ぐ…
華やかさを添えています。

階段壁面のテラコッタ装飾です。
1927年に設立された県立窯業試験場、
現在の信楽窯業技術試験場で作成。
アカンサスを配した意匠となっています。

こちらは新館東側玄関のレリーフ

最後にもうひとつの謎
本館前庭にあるブロンズ裸婦像
長浜出身で日展理事を勤めた
彫刻家の中川清さんの作品です。

滋賀なのにタイトルは「海」なんです。

一、比良の峯ゆく 白い雲
  緑に映える 琵琶の水
  機織る町に 稲刈る村に
  今日も平和の日はうらら
  美しの滋賀 明るき滋賀
  讃えん われらの 伸びゆく滋賀を
二、高い文化の 伝統に
  野花も聖(きよ)く 匂う国
  漁(すなど)る舟に ベルトの歌に
  明日の希望が燃えあがる…
三、力あわせて 弥栄(いやさか)の
  楽土を築く 意気新た
  かがやく眸(ひとみ) ゆるがぬ決意
  進むわれらに 波光る…

滋賀県民の歌は1954年に一般公募、
作詞は長浜市在住の元朝日新聞記者
蓼沢猟さんのものが採用されました。
ちなみに作曲は六甲おろし
古関裕而さんです。
歌碑は滋賀会館前にあったもの…
2015年の滋賀会館解体前の移築です。

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