トヨタ王國をあるく① 紡ぐ織る


木綿往生』という
言葉があります。
かつて木綿は自家用に栽培、
一家の女性の手によって、
糸にして織られ…

ただ…くたびれた着物は、
作業着へ繕い繕い、
限界に達して
小さく切られ雑巾に。
さらに紐に撚り
灯心となって…
天寿がまっとうされる。

糸を紡ぎ布をつくる、
紀元前5,000年以前のこと。
人類が最古の技術は、
紡ぐ・織るの基本作業は、
実は昔も今も変わらず。

工程をいかに早く、
省力化するか…

名古屋市西区則武新町にある
トヨタ産業技術記念館
たずねました。

赤レンガの建物は、
織機の研究開発のために
豊田佐吉が創設した
試験工場でした。

館のシンボル展示の、
近代化産業遺産 動態展示。
豊田佐吉が1906年に
発明した環状織機は、
「動力を空費せず、
 超広幅の布を
 静かに製織できる」
回転円運動によって、
布を織り上げる「夢の織機」、
世界19カ国で
特許取得されたものです。

記念館は「繊維機械館」と、
自動車館」の二ゾーン…

近代化産業遺産指定の
「無停止杼換式豊田自動織機
 (G型)第1号機」

杼 (ひ)とは
織物を織るときに、
経糸(たていと)の間に
緯糸(よこいと・ぬきいと)を
通すのに使われる道具。

高速運転中に
スピードを落とすことなく
杼を交換し、
よこ糸を自動的に補給する
自働杼換装置を備えています。

G型自動織機の組立ラインが
再現されていました。

チェーンコンベアを用いて、
流れ作業で組み付けが再現。
豊田喜一郎はこの組立ラインで
量産を実現したのです。
そして…自動車組立の
従業員訓練の場ともなりました。

トヨタ生産方式の原点がここに…
繊維機械と自動車製造へ
繋がりを感じさせる場です。

こちらも近代化産業遺産
「豊田式汽力織機」

一人で3〜4台も運転でき
生産性が従来の20倍に向上、
木鉄混製の安価でかつ堅牢。
ドイツのハルトマン社製の
動力織機の872円に対し、
38円で販売されて、
全国に広く普及しました。

こちらは信濃の技術者、
臥雲 辰致(がうん ときむね)
1873年に発明の「ガラ紡機」
なぜ…ガラ紡というのか?
ガラガラという騒音が理由。
展示機は1931年の製作、
1993年まで
豊田市のガラ紡績工場で
動いていたものの復元整備です。

こちらは「郡元水車館
機織の動力に水車を
使った最初は島津斉彬
帆船の布を自給するために
作られたものでした。



「シングルビータオープナー」
綿の繊維の損傷を
出来るだけ少なく…
回転するビーターの突起で
開綿させる機械。
豊田自動織機製作所が
1956年製造したもの。





実演付きの「練条機
繊維をまっすぐに揃え、
太さを均一にすることを
「練条」と呼ぶそうです。

展示機は、1935年より
豊田自動織機製作所が開発した
1951年製のものでした。

最新式の織機
エアジェット織機」。
タペストリーが
織られていました。

トヨタ王國をあるく…
しばしお付き合いを!

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