岡山県北の雄都 津山たび〜 PORT ART&DESIGN TSUYAMA


芸術文化の創造・発信拠点として
2018年にスタートした
PORT ART&DESIGN TSUYAMA

津山"津"にちなんだ 港= PORT
人や文化が集まり賑わい、
発展していく"港"を目指している

そんな願いが込められています。

本館は木造二層入母屋造
千鳥破風の玄関付きで、
寺院建築かと思わせる外観。
屋根は檜皮葺の上に銅板を張り、
さらに玄昌石の天然スレート
葺くという実に凝った造りです。

玄昌石は粘板岩の一種、
表面の波のように流れる筋模様と
比較的薄く剥ぐことができ、
宮城県の玄昌石などは、
東京駅の屋根材としても使用されました。

本館は木造平屋建てで、
銀行建築としては極めて特異な、
仏殿を思わせる二重屋根を持ちます。



内部が折上格天井
屋久杉尾州檜を使った上部壁面、
かなりの贅沢な造りです。

柱には栂の木が使われ、
カーブがすばらしい
折上格天井には吉野杉



妹尾銀行 林田支店として建設、
1920年(大正9年)に当時の頭取
妹尾順平が手がけたものです。
その後、第一合同銀行、
次いで中国銀行 津山東支店となり、
1973年に東津山駅前に
移転するまでの約半世紀、
銀行として使用されていました。

妹尾銀行については、
調べることができなかったのですが、
妹尾順平の略歴を要約すると…
実業家にして、後年は政治家。
真庭郡落合町(現在の真庭市)の生まれ。

専修大学卒後は故郷の津山へ戻り、
兄の経営する普通銀行を譲り受けて
"妹尾銀行"と改称して開業し、
自ら専務取締役に就任。
その実には、大原孫三郎らの協力で、
普通銀行を5万8千円で
買収することができたのだと伝わる。
(小谷善守「出雲街道」第5巻「津山」)

1920年(大正9年)の衆議院議員選で、
岡山8区から立憲政友会公認で
立候補して当選。
ところが2年後に選挙無効で失職
1922年(大正11)に、
大原孫三郎の第一合同銀行
合併吸収されたという。

大原孫三郎倉敷紡績所
2代目社長であった人、
第一合同銀行は1919年に設立。
中国銀行の淵源は1878年設立の
第八十六国立銀行ですが、
昭和初期の世界恐慌の影響もあり、
銀行合併廃止は日常茶飯事でした。

本館の裏には、赤レンガ敷きの中庭、
外壁を石積みで覆われた金庫棟、
金庫も開けていただきました。

要石を擁する煉瓦のアーチ。


イギリス積み赤煉瓦の空間は、
地元作家をはじめアーティスト作品や
デザインプロダクトの展示の
ギャラリーやイベントスペースに。








旧妹尾銀行 林田支店
( PORT ART&DESIGN TSUYAMA )
建築年:1920年
設計 :不詳(妹尾順平)
施工 :不詳(上田浅次郎)
構造 :鳥破風入母屋造り、天然スレート葺
津山市指定重要文化財(建造物)

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